FC2ブログ
管理人のオリジナルキャラクターの設定・漫画・イラスト。漫画はギャグメイン。時事ネタ、日常ネタなんでもあり。

身に覚えない運命に殺されかけても

タイトルやサブタイトルはUVERworld「ODD FUTURE」の歌詞から引用しました。
http://j-lyric.net/artist/a01151c/l0462f5.html
J-lylic.netより。
ドラマ第1話の例の事故シーンより。
春田視点と部長視点。
お人好しに隠された春田のポリシー。どんな目にあってもこの仕事と人間が好きなんだろうと思いました。あくまで人間愛です。
それに対して不安を隠しきれない部長。
病院のシーンはドラマで出なかった部分を補う意味で書きました。

★すべては身から出た錆、羽振りよく増やした黒歴史(春田視点)
部長に任された仕事で、俺はミスを犯してしまった。
あの時、部長は俺を責めずに、叱咤激励してくれた。主任は冷静に指示をし、俺を責めている栗林を諭そうとしていた。牧は俺をフォローしてくれた。
ぎりぎりの時間に展示会に向かい、会社のマスコットの着ぐるみを着た直後、嫌な音が聞こえた。
「部長!」
鉄柱を支えていたワイヤーがはじけ、それが部長に向かって倒れようとしていた。
足が勝手に動いていた。俺の意思とは無関係で。
絶叫と同時に部長を突き飛ばした瞬間、大きい音とともに俺は鉄柱の下敷きになっていた。着ぐるみの頭が遠くに転がっていく。

「春田さん!」
「春田!」
遠くから声が聞こえる。意識はあるけど、体は動かない。
武川主任が俺のもとへ真っ先に駆け付けた。部長は必死に俺の体をゆすっている。
「部長、揺らさないでください!牧、早く救急車を!」
武川主任が部長を俺から引き離し、牧が動揺している部長を支える。瀬川さんが固まって動かない栗林に声をかける。

部長、いろんな失敗をして来たけれど決して、見捨てようとしなかった。俺もそんなになりたかった。
武川さん、俺がとんでもないポカをしても、的確にアドバイスをくれた。瀬川さん、明るい笑顔でどれだけ救われたか。精神的な支えになってくれた。
牧、頼りない俺をいろいろとフォローしてくれたよな。栗林、喧嘩ばかりしていたけど、仕事出来るのは認めていたよ。
情けない先輩ですまない。俺はお前たちともっと仕事がしたかった。
今更だけど、この仕事が、この職場が、ここの人たちが好きだったんだ。
辛かった事も多かったけど、俺は仕事を通して出会う人たちが喜んでいるを見て、嬉しかった。
ごめんなさい。必死に話しかける部長に声を掛けようとしても、声が出ない。
俺の意識はここで途切れた。

結論を先に言えば、俺は全くの無傷だった。
ずいぶん長く気を失っていたかと思っていた。我に返った時はとある病院の診療室に座らされていた。
目の前の医者はボンヤリとした俺を見て、不安そうな顔をした。
「奇跡としか言いようがないんだけどね……かすり傷ひとつないんだが。君、不注意だって言われたことないか」
「……はあ」
おそらく、着ぐるみを着ていたためか、頭は大丈夫だったようだ。鉄塊が直撃しながら、肋骨ひとつ折れていたなかったのは非常に運が良かったとしか言いようがない。
不注意のところは今、突っ込むところではないと言いそうになったが、事実なので寸でのところで飲み込んだ。
間の抜けた返事ばかりする俺に向かって、もう少し頭の中を調べたほうがいいと、いきなりタブレットを渡された。


「…大丈夫なんですか」
気が付くと、牧がいつの間にか診察室に入っていた。
「いや、それがさ、俺、脳年齢85歳だってさ。んなわけないだろ」
「何?……『若いのに』ってこれのこと?」
結果が散々な脳年齢のテストを見せ、牧は拍子抜けた顔をした。医者たちの深刻な顔を見て瀕死の重傷だと思っていたらしい…当然の反応だ。
あのやぶ医者、どういう風に言ったんだと突っ込もうとした瞬間、牧が俺を突き飛ばした。
「もう……俺、どうしようかと思ったんですよ!」
「……ごめんなさい、心配かけました」
牧の真剣な表情を見て、俺は面持ちで謝罪した。
「春田!」
青ざめた表情の部長が飛び込んできた。






★それでも今日まで生かされていることは(黒澤視点)

展示会の会場で春田が俺を庇って鉄柱の下敷きになり、俺は牧に付き添われて病院に向かった。
俺は相当錯乱していた。牧が離れた場所で武川に連絡していたが、周りが見えなくなるほど震えていた。
診察室から、看護師が「まだ若いのにね」「大変だね」と沈んだ声で出てきた。更に深刻そうな医者の姿を見て、顔面蒼白になった。嘘だ、そんな俺は最悪の事態を想定していた。
「なんてこった」と繰り返しながら絶叫する俺に医者はため息をつきながら、話を始めた。
「……『頭以外』全くの無傷です。当の本人は何が起こったか把握していないようで……」
「……はあ……??……えっ??」
皮肉交じりで医者がそう答えた時、俺は脱兎のごとく、診察室の中に飛び込んだ。


「……春田……」
泣き出しそうな牧と春田の呆然とした顔を見たとき、安堵とともに堰を切ったようにこらえていた何かが噴出した。
「ま、牧、悪いけど、席外してくんないか?」


春田の配慮で2人きりになり、指を震わせながら春田の顔をなぞった。
「痛い……?」
「いえ、全然……あの、部長にけががなくてよかったです」
その言葉に、俺は崩れ落ちるように春田の腰に縋り付いた。
「馬鹿!!」
戸惑っているお前を尻目に俺は、激しく泣きじゃくった。
拒否されてもお前の体温を感じたかった。今だけは許してくれ。



「……無事でよかった……」
俺を撫でている春田に気づき上目づかいで見上げると、春田が声を詰まらせていた。
「……すみません」
「俺は怖いんだ……お前が遠くに行ってしまいそうって……」
お前は優しすぎる。困った人を見れば、自分を放り出していってしまう。
これはお前自身の性。気がついていないだろう。俺は10年もの間、そんな姿を見てきた。
お前を利用して近づいたやつに対しても、お前はきっと、見捨てることはできない。
たとえ、理不尽な運命によって殺されても、底抜けのお人好しは諦念を抱いて去っていくだろう。
「俺、今日はさすがにダメかと思ってました……」
「……やめてくれ……」

俺はお前が思っているような理想の上司じゃない。お前がいなくなれば、断崖絶壁に堕ちて戻れない。
お前と牧が仲良くなってると思ったら、いてもたってもいられなくなった。
誰かのものになったらと思うと、気が狂いそうだ。



神様、春田を生かした意味があるのなら、この愛に意味をつけるなら、俺につけさせてくれ。


スポンサーサイト

2018.05.20 / Comments(0) / Trackback(0) / 小説(二次創作)